『からだのへいこう』
という文字列を漢字変換するなら、どんな字をあてますか?

体の平行。
これが真っ先に出てくる人は多いのではないかと思います。

体の平衡。
この字が出てきた人は、スポーツかなにか、体を使う趣味をしている人でしょうか。

体の閉口。
これはなかなか詩的な表現といえるでしょうか。体を独立した生命として擬人化し、それが口を閉ざしているような、コミュニケーションの取れなくなった状態を表しているのかもしれません。

他にも並行、閉校など色々出てきますが、体を身体と変換するパターンは別として、
『へいこう』
という字を漢字変換したら、概ねこの3つのどれかになると思います。
今回は、ふたつめの『体の平衡』について話をしてみましょう。

さて、平衡という言葉を辞書で引くと、
『釣り合いの取れていること 均衡』
というふうな解説が出てきます。

体の釣り合い、と書くと少し分かりやすくなるかもしれませんが、同時に安易な思い込みに囚われてしまうことにもなります。
つまり、
「ああ、ようは体の左右が均等になっていることがバランスが取れていることなんだな」
と。

もちろん、それも間違ってはいませんが、からだにおける平衡、均衡とは、左右のシルエットが線対称になっていることだけを指しているのではありません。
むしろ、それなら漢字変換の最初に挙げた『体の平行』のほうがしっくりくるのではないでしょうか。

それに、からだとは一見すると左右対称のようですが、ご存知のとおり完全に非対称のものです。
でなければ利き手、利き足なんて概念は存在しませんし、もしも完全に左右対称を目指すなら、臓器もまた左右にひとつずつ、もしくは完全に中心線揃いのひとつにしなければならないはずでしょう。
少々極端なたとえかもしれませんが、からだにおいて完全な物理的平衡を作りだすことは不可能に近いことなのかもしれない、と思って頂ければ幸いです。

ここで言う、からだの平衡とは、「均衡」のことです。
『衡』という字には、重さという意味が込められているところから、左右から等しい重さがかかることでバランスが保たれている様相、積極的アプローチが双方向から同時に行われている様子を示していると理解できます。

からだの左右を線対称にするのも、なるほど確かに重さのアプローチが無いとは言いませんが、積極的かどうかと言うには少々大袈裟な気もします。

では、からだにおける平衡を生み出す積極的アプローチとは、どのようなものを指すのでしょうか。
先に挙げた物理的、外面的対称としてのものを除外して、大別して2つです。

ひとつは、本ブログで度々挙げる、
「肉体を一個の生命体として見たときの、肉体と私たち自身の関係性における平衡」

そしてもうひとつが、
「免疫という肉体が持つ健康のバランサーとしての平衡」
です。

次回は、この免疫にかんする平衡ついてお話することにします。