いきなり結論からになりますが、私たちのからだというものは、確信によって創られています。
より具体的に言えば、本人が強く信じていることがからだに表れる、ということです。
それは、たとえば今まさに肩こりで苦しんでいるとするならば、「私はとても肩が凝りやすい」と強く信じているからに他ならないということです。
こう言うと非常に乱暴で、すべての責任は自分にあるのだと言っているような、突き放した表現に聞こえるかもしれません。ですが、まずそこを認識しなければ、本当の意味で『からだと向かい合う』ということは難しいと思うのです。
もちろん、逆もまた然りです。
どれだけ疲れても、一晩グッスリ眠ればあっという間に回復する、非常に疲れが取れやすい体質の人がいるならば、それは「私はとても回復が早く、大抵のことは寝れば良くなるのだ」と心から信じているからであると言えるでしょう。
良きにつけ悪しきにつけ、からだは私たち自身が強く信じる姿を反映させます。
そして多くの人は、その信じることに根拠を求めるのではないでしょうか。
最初に挙げた、肩の凝りやすい人の例であるならば、たとえば1日に10時間以上パソコンに向かい合っているデスクワーカーだったとします。
さあ、そう聞いただけで「ああ、肩こりが酷いのも仕方ないな」と思いませんでしたか?
10時間以上もの座業を続けるデスクワーカーであるイコール肩こりが酷い、という公式を、何の疑いも無く信じはしませんでしたでしょうか?
長時間の座業をするということを、肩こりが酷い原因とイコールにしてしまうのは早計です。実際に肩こりになるのは、長時間同じ姿勢でいるからではないのです。
長時間『からだにとって間違った、苦しい姿勢』でいるから肩こりになるのです。
さらに言うなれば、そういった生活を繰り返す中で、いつも肩が凝る自分を見るたびに、「ああ、私はなんと肩が凝りやすいのだろう。そういえば私はいつも長時間座って仕事をしている。なるほどだから肩が凝りやすいのだ、これは仕方がないのだ」
と、悪い根拠を見つけてはそれを信じようとしているからに他なりません。
ですが実際に、私たちは長時間の座業を行う人を、肩こりや腰痛が酷いという事実とイコールで結びつけることに、何の疑いも抱かないことが多いのではないでしょうか。
それを信じていっても、からだは絶対に良くなりません。
けれど、良いものだけ信じて悪いものを信じない、悪いものを見て見ぬフリをする、というのはなかなかに難しいものです。
私たち人間は、基本的に善性を是としています。
だからこそ、そこに付いた悪という汚れを見つけると、それを無視することはできないようになっているのです。
では、それを気にしないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
逆のことをすればいいのです。
つまり、良い根拠をひたすら積み上げていき、それを信じるようにすることです。
先に挙げた後者の例を見てみましょう。
恐らくですが、回復が早いというのは生まれ持った体質もあるでしょうが、それ以上に積み重ねてきた良い根拠が多いからだと思います。
たとえば学生時代に、運動部で厳しい合宿を乗り切った経験があったとすれば、それを根拠に、「ぶっ倒れるほどヘトヘトになっても、一晩寝れば次の日また練習できた。だから私は回復が早い」と信じることができるでしょう。
他にも、睡眠の質をあげるために寝具に拘っているとすれば、「私はいつも質の高い睡眠をとることを心がけている、だから回復が早い」と信じることができます。
回復を促進させる食生活に気を遣っている、お風呂でのリラックスタイムを大事にしているなど、信じる要因を増やしていけば増やしていくほど、からだにそれが反映されていきます。
いやいやそれは物理的要因のせいであって、信じる信じないは関係無いだろうと考える人は、それでも構いません。
そういう方は、良いベクトルの物理的要因を増やすことで健康になるのだ、と信じているから、それで良いのです。それがその人にとっての確信なのですから。
もう一度はじめに戻ります。
私たちのからだは、確信によって創られていきます。
その確信は、良いものも悪いものも、すべて同列のものとして扱われます。
であるならば、良い確信を増やしていくことこそ、私たちからからだにできるアプローチの第一歩ではないでしょうか。
からだは、常に善く在るべく変化し続けようとするものです。
それに対して私たちができることは、叱責やダメ出しではないはずです。
からだとは善いものであると信じ、それを信じ続けるための良い根拠を積み重ねていくことこそ、もっとも効果的な健康法のひとつと言えるでしょう。
そしてその根拠もまた、大仰なことである必要はありません。
いつも車やバイクで行く駅までの道を、今日は歩いた。だから私は健康になる。
今日は普段より食事のバランスに気を遣った。だから私は健康になる。
昨夜はお酒を控えて、ゆっくりお風呂に浸かってぐっすり眠った。だから私は健康になる。
こんな普段の生活の中でできる、ほんの少しの良い根拠を「これは自分にとって良いことであるのだ」と信じていくことこそ、健康を作りだし続ける秘訣であり、基本なのです。
Masaki