ボタニア コナ研修を振り返って

「私たちは大きなエネルギーと落ち着いた雰囲気と温かい眼差しに包まれている。」

コナでの研修中に感じていた気持ちです。

私たちが滞在していた場所は敷地の中にも未だに残る遺跡が物語るようにカメハメハ大王の終の住処となった場所でもあります。ハワイ諸島を知り尽くした大王が最終的に選んだその場所に、今回、私たちは一週間という時間を各人それぞれの方法で付与され、集められたという感じがします。

そして、この研修を通して日頃、雑事に追われ自分と向き合う時間が希薄になった私たちにとっては今の自分の立ち位置を確認するためのとてもいいチャンスとなったように思います。

ボタニア的考え方で過ごしたこの一週間の研修は、呼吸から始まり、立つ、座る、歩くという基本動作の確認から、受け入れる、認識する、感じる、イメージするといったボタニアならではの身体を養う4つの方法を通して自らの持つ潜在的な可能性に気づきそれを向上させていくという 静かではあるがとても興味深い内容でした。

各人が「自由」というテーマを与えられ、それをどのように膨らましていけるか、またそこには全て自己責任が伴うことを、逆に「自由」と向き合うことにより気づかずにかけていた自分に対する制限などを点検、確認するなど、「自由」をこの世の秩序の中でどのように楽しむかという コナ研修ならではのものではなかったかと思います。

 

熱帯から極寒まで存在するハワイ島は様々な自然の宝庫です。

今回 参加者の皆様と訪れたマウナケアはまさにその最たるもので、一気に海抜0メートルから4200メートルまで3時間あまりで上がっていくというすざましい経験でした。途中食事などしながら高度順応に時間をとりましたが、さすが酸素濃度が地上の60%の世界は厳しかったです。

次に、キラウエア。マウナケアとは対極の荒々しくまさに今活動中の火山です。

2ヶ月ほど前までは活発だった火山活動も私たちが訪れた4月後半はある程度沈静化し穏やかな状態で迎えてくれました。しかし奥深く秘めたエネルギーはとてつもなく大きく、そこに身を置き自らの全てをゆだねることで返してくる暖かさは心地よく、包み込まれるような安心感を感じずにはいられない不思議な感覚でした。

私たちの大切な友人が火口を望むこの神聖な場所で私たちのためにカヒコを奉納してくれ、とても厳かな思いで拝見することができました。ペレという山の女神の存在に対し無担保でその存在を崇めるところは私たち日本人の風習行事にも通ずるところがあるように思われます。

そしてこの想いは私たちの身体に対しても同じことが言えると思います。目に見え、手で触れることができなければ何も信じないというこの懐疑的な思いとは全く対極にある考え方です。身体的苦しみの多くはこの疑い心から発せられているように感じます。

出発前の天気予報ではほぼ曇りか雨の予想が、参加者の皆様が晴れを引き寄せたのかと思うほど穏やかな天候に恵まれた一週間でした。しかしこの研修の中で1日だけ嵐のような日がありました。風になびくヤシの木の枝がもぎ取られるぐらい激しいもので、この時ばかりは改めて自然の荒々しさを身近に感じずにはいられませんでした。

日頃多くのものに守られ、有って無きがごとくに感覚を抑えられ、気づかされずに営まれる私たちの普通の生活がいかにありがたく恵まれたものであるかを実感させられた反面、対極を知り現実を体験するという意味からもあえてこのような厳しい環境の中に身を置くのもまた必要かと実感させられた瞬間でした。

今回のボタニア コナ研修を通して参加者の方々は このハワイ島のすざましい自然と心に染み入る優しさの中で何に気づき、何を感じられたのでしょうか。

「自らの可能性をそしてその存在自体を無担保で受け入れること」これがこの研修のもう一つの大きなテーマではなかったかと思います。これは「身体を養う4つの方法」の第一義とも繋がります。

このことにより「身体を養う4つの方法」第二義の「自然も含めたより大きな存在」に守られている自分を実感、確認していただけたでしょうか。

第一回研修も5月1日無事に終了することができました。

あまりにもこの余韻をゆっくりと味わいすぎてしまい10日が経ってしまいました。

みなさんありがとうございました。