肉体にとっての春夏秋冬とは?
季節に春夏秋冬があるように、肉体にもまた、春夏秋冬があります。
老化防止、アンチエイジングと、最近は年をとらないこと、肉体的若さを長く保ち続けることをもって健康と呼ぶ風潮があるように感じます。
確かに、いつまでも若くありたいと願うのは、人類史的に見ても自然な欲求なのかもしれません。
けれど、それを成し遂げた人がいないというのも、また事実です。
「人生50年、下天のうちをくらぶれば〜〜」と謡われていた時代から、はや数百年。
今や人生80年、90年、100年さえも当たり前の時代になってしまいました。
しかし、だからといって私たちにとっての『肉体的少年・少女期』は延びたでしょうか?
『肉体的青年期』は、どのくらい長くなったのでしょう。
お分かりのとおり、延びたのは壮年期、老年期の時間です。
どれだけ頑張っても15歳にもなれば肉体は第二次性徴がはじまり、40歳を超えればもう青年と呼ぶには些かの無理が生じてきます。
であるならば、私たちのできる範囲の努力とはどんなものでしょう?
少しでも青年期を長く保てるよう、アンチエイジングに心血を注ぐことでしょうか。
それとも、長くなった壮年・老年期を、より楽しみの多いものにできる身体を目指すことでしょうか。
冒頭で、肉体にも春夏秋冬があると言いました。
そしてそれは、秋には秋の、冬には冬の楽しみ方があるということです。
太陽の下でハツラツと遊ぶのが肉体的春、夏の楽しみ方であるとするなら、秋や冬は季節の味覚を楽しんだり、熱い温泉にゆったり浸かったりする楽しみ方があります。スキーやスケートなどの、冬ならではのスポーツを楽しむというのも良いですね。
肉体もまた同じです。
若い頃にできなかったことが、経験を重ねた老年期になって初めてできるようになる、ということもあるのです。
そしてなにより、老いを劣化と嘆くことなく、肉体の四季の移り変わりであると捉えることのできる心の余裕こそ、いつまでも若々しくいられる一番の秘訣ではないでしょうか。
できていたことができなくなっていく悔しさを減らしていくことより、できなかったことができるようになってゆく楽しさを見出していくことこそ、最大のアンチエイジングかもしれませんね。
masaki